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名称: ファブラボ山口
場所: 山口県山口市米屋町2-4
URL: http://fablabyamaguchi.com/

※本ページに掲載されているのは、2016年8月時点の情報となります。

施設の設置目的

今後、モノとテクノロジーが掛け合わさる仕事にシフトしていく必要性を感じており、自社の新規事業創出に繋がるきっかけにするため

施設の設備、備品、その他通信や飲食提供などの環境

  • 3Dプリンター、レーザーカッター、CNCフライス、刺繍ミシン、ペーパーカッター、はんだごて等のアナログ工具
  • Wi-Fi
  • 飲食自由だが利用者が持参
  • キッチン(非共用)
  • 二階部分に畳の部屋もあり、イベントで利用している

施設の利用者

幅広い年齢層で、バックグラウンドも様々。
例. 山口県立大学の学生、幼児を持つ主婦、地元の製造業企業のエンジニア
電子手芸のようなワークショップでは子供、女性、お年寄りまで幅広く参加される。

当該施設利用者が、現地で行えること。利用者の過去の実績など

  • ファブラボ山口 見学会
    費用:無料
  • 機材の初心者講習会
    費用:参加者1人あたり2,000円
  • 講習会を通じて使い方を学んだ機材を自由に使用可能(週3日のオープンラボ※平成28年4月以降は週2日に変更)
    費用:無料(材料は利用者が持参する。或いは利用者同士の共通資産としてストックされている端材の利用も可能)
  • ワークショップ
    費用はワークショップ毎に異なる(例.「手描きのイラストでつくるオリジナルスタンプ」ワークショップは1,000円)

当事者が生活で必要なものを制作する。(母親が子供の学校用の道具袋を刺繍ミシンで制作するなど)
山口県立大学 文化創造学科 の卒業作品の制作に機材を利用。その後、卒業展でファブラボ山口スタッフと利用した学生による座談会も実施。

施設が所在する周辺地域、日本国内、及び海外の他ファブ施設との連携実績

山口情報芸術センターが行っている様々な研究開発の成果物、その恩恵を噛み砕いて伝える役割を今後担っていくことを狙っている。
国内のファブ施設とはプロジェクトの連携などの実績はまだないが、お互いのセミナーに行き来(講師として招いたり、参加者として参加したり)といった関わりはある。
海外と活発に連携していくべきかは現在議論している最中。

施設を維持する収益構造

収入は、

  • 講習料
  • 出張ラボ※の企画料および参加料

※交流センターに出張し、3Dプリンターなどのデモやワークショップを行う

  • 山口情報芸術センターとの仕事(例.ミニメイカーフェアの運用支援)

支出は、ほぼ家賃と人件費であり、現状の収入では全く採算が取れていない。
現状はアワセルブスの主要事業(Web制作)の利益で維持している。

施設の管理者、特にマネージャーの役割、当該者の経歴、得意分野

アワセルブス責任者※が施設管理者となり、主に制作活動のディレクションを行っている。
※ソフトウェアエンジニアとしてフリーランスを経て株式会社アワセルブス設立。Web制作事業を行う(ホームページ制作、Webシステムの開発)
社員が現場スタッフとなり、ワークショップの講師、ユーザーのサポート、外部(大学や他ファブラボ)とのコミュニケーションを行っている。
Web制作事業を兼務しているスタッフと、ファブラボ運営業務専属のスタッフを有している。

運営者、又は管理者の感じる施設の課題

  • スタッフの負荷が重い
    休みが取りにくく不定休のためオンオフの切換えが難しい
  • 社外の人員(コアユーザー)を半スタッフとして運用に携わってもらうことも検討しているが、その際の契約や責任の所在(機材のトラブルやユーザーの怪我)などの整理すべきことがある。
  • 直接的な収益を生むことが難しい
    活動の成果を可視化しにくく、また、成果を得るまで長期的な視野をもつ必要がある
  • 高い技術を持ったスペシャリストを目指すべきなのか、この地域でそれが今後活きていくのか、付近に需要がどれだけあるのかが見えていない
    現在は、ファブ施設への関心を示す市民に対して敷居を低く門戸を広げる役割に注力している

レポート

地方のファブラボとして独立採算を成立させることの難しさが大きく印象に残った。
また、成果を具体的な数字として表すことが困難であり、そもそも成果が現れるまで時間を要することも収益を発生させることを難しくしている。
しかし、継続することで確実に地域に浸透しつつある手応えもあるとのことだった。

ファブラボ山口は設立当初よりインターネットやSNSを用いて情報発信をしていたが、平成28年3月に市報に特集記事が掲載され、地元ケーブルテレビでも放送されたことを受けて山口市内及び近隣地域での認知度が高まり、来場者が増加した。
また、平成28年1月より「出張ラボラトリー」として山口市内の地域交流センターでワークショップを実施し、遠方の市民と直接顔の見える関係を築くことで認知度を高めた。出張ラボラトリーの参加者の多くは地域交流センター発行の「地域だより」やミニコミ紙でファブラボ山口の施設情報やイベントを知ったという。このことから、地方の実情に合ったメディアでの告知が非常に重要であることがわかった。

今年度は、山口県立大学との連携強化の一環で、ファブラボ山口で何かを制作すると、社会活動等のカリキュラムの一部として単位を与えることも検討されている。
教育機関との関わり方として、このアイディアは非常に良いと感じた。

また、松江市の場合、すでにRuby City Matsue プロジェクトでRubyを核とした創造的活動の基盤がある土地で、それをさらに発展させて様々な分野と融合することができたら外部に対して非常に大きなインパクトがあるという感想をいただいた。
「FabLab」はすでに世界共通言語となっており、FabLabであるということによって世界規模でお互いの活動への理解や協働の話などに対して、意思疎通が早いということを強く感じているとのこと。
「Ruby」も同様に世界共通言語となっている。RubyとFabの組合せによる地域ブランディングや世界との繋がりやすさというのは、人的リソースにハンデのある地方にとって、特に大きな意味があると考える。

運営者

株式会社アワセルブス(協力:山口市※)
※山口市は、3年前から山口市の産業振興目的でファブラボの設立に向けて他施設への視察を行っていた。ファブラボ山口を設立する際に発生するコストの一部(ファブラボ鎌倉によるコンサルティング、初期スタッフの人材育成に係る費用)を助成した。

 

(2016年8月現在)