【調査報告】三江線鉄橋(第一江川橋梁)の3Dデジタルアーカイブ
3次元データ(3Dデータ)の新たな活用可能性の検証として、島根県美郷町における旧JR三江線「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」の3Dデジタルアーカイブの取組を紹介します。
3次元データ(3Dデータ)の新たな活用可能性の検証として、島根県美郷町における旧JR三江線「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」の3Dデジタルアーカイブの取組を紹介します。
しまねソフト研究開発センターでは、「ITOCminiLab」と称してドローンやXR技術を用いた機器等を整備、島根県内事業者と共同で利活用することで、新たな製品やサービス創出の支援をしています。その取り組みの一環として、今回はITOCminiLabのメンターである株式会社SWIFT・株式会社トルクスによって、旧JR三江線の「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」における3Dデジタルアーカイブに向けた取り組みを行いましたので、ご紹介します。
近年、建設・土木業におけるi-ConstructionやBIM/CIMの取り組みによって、3次元データを活用した設計段階でのCADモデリングや構造シミュレーションなど、様々な工程における効率化が図られています。また、製造業においても、製造現場や空間を3Dデジタルコピーすることで製造・生産技術や検査工程でシミュレーションを行う「デジタルツイン」をキーワードに、様々な分野・領域で3次元データの活用されています。
このことから、ITOCminiLabでは、BIM/CIMに向けた測量技術または製造業のデジタルツインの実現に資する取り組みを行っており、以下のレポートを公開しております。
【調査報告】iPhone12 Proからはじめるミラーワールド
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【調査報告】RTK測位によるドローンを用いた写真測量と3次元点群データの生成
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上記の背景より、3次元データの様々な領域・分野で活用が見込まれることから、その活用可能性を探るため、ドローンのRTK測位(RTK-GNSS)による写真測量を行い、3次元点群データの取得から3次元データ(3Dモデル)の生成・VRコンテンツの視覚化によって、3次元データの新たな活用可能性を検証することを目的としています。
また、旧JR三江線の「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」は、今後に取り壊しとなる可能性もあることから、3Dデジタルアーカイブとして建築構造物の新たな保存手法の可能性を検証しました。
今回、目的に沿って以下の内容に取り組みました。
島根県美郷町にあるJR旧三江線「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」を対象として、RTK測位(RTK-GNSS)によるドローンを用いた写真測量を実施しました。
その測位データをもとに、3次元点群データの生成および3Dモデルの作成を行いました。本取組内容は、以下のレポートにて詳しく紹介しております。
【調査報告】RTK測位によるドローンを用いた写真測量と3次元点群データの生成
/lab/lab-case/1054
上記によって生成された旧JR三江線「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」の3Dモデルを、VRコンテンツとしてプロトタイプの制作を行いました。
VRコンテンツのプロトタイプでは、実際に「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」へ訪れたような体験ができるとともに、360度あらゆる視点でバーチャル空間になった「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」の橋の上を歩いて見回すことができます。
制作したVRコンテンツのプロトタイプにおける、VRヘッドセット(Oculus Quest2)の映像キャプチャは以下のとおりです。
※本VRコンテンツでは「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」を通行できるVRウォークスルー機能を実装しています。
※今回はプロトタイプのため、3Dモデルのポリゴンを最適化しており、敢えて粗いモデリングとなっております。
本取組を通じて、3次元データの新たな活用としてVRコンテンツの制作を行い、その活用可能性を探るため「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」がある美郷町役場の皆様、交通インフラの維持・管理事業者の皆様に体感いただくとともに、その有効性や更なる活用可能性のフィードバックをいただきました。得られたフィードバックについては、一部抜粋の上で以下のとおり紹介します。
活用が見込まれる業種・分野
活用によって期待される波及効果
今回、ドローンのRTK測位による写真測量で取得した3次元データを活用して、旧JR三江線「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」のVRコンテンツの作成を行いました。
これにより、VRヘッドセット(Oculus Quest2)を用いることで、実際に「三江線鉄橋(第一江川橋梁)」を訪れると同時に、橋の上を歩いているような疑似体験が可能となります。
つまり、3次元データの活用として、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術を組み合わせることで、新たな体験価値の創出や様々なシミュレーションを実現することが可能となります。
例えば、「安全教育を目的とした疑似体験によって技術習得を図る」「現場・地形に合わせた災害シミュレーションの実施」など様々な活用が図れます。
さらに、各種デバイスの進化によってVRコンテンツを体感できる環境が充実しつつあるとともに、体感できる質も向上してきています。
これまで、実地訓練を要する特殊技術や現場でしか得られにくかった経験を、VRコンテンツを通じて早期に習得できるようにすることで、人手不足の解消にも繋がるものと期待されています。
今回の取組で成果公開を行うことにより、皆様の事業における参考になるとともに、新たな取組の一助となれば幸いです。
* 本内容に掲載されている情報は2021年4月末時点のものです。
本レポートに関する詳細な内容について、お問合せがありましたら下記へご連絡下さい。
公益財団法人しまね産業振興財団
しまねソフト研究開発センター(ITOC)
担当:渡部
Phone:0852-61-2225
Email:itoc@s-itoc.jp